湿し灰づくり
- saitearoom
- 2023年8月2日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年8月4日
お席でいただくお抹茶や
火をおこすための炭は
自分で作らずにお店で買いますが、
火床になる灰は毎年手入れをしながら、大切に同じものを使います。
美味しいお茶のために、お湯が、火が、灰が必要なのでしょうが、
そこまでさかのぼって、
手をかけることに驚いたものです。
その頃は灰には馴染みがありませんでした。
いつのまにか、子育てが終わったような世代になり、
この夏はじめて灰を育ててみたいと感じました。
偉そうかもしれませんし、ニッチすぎるかもしれませんが、
今までは夏の苦行でしかない、
と思っていた湿し灰づくりが楽しくなってきました。
湿し灰は炉の時期に使うもので、
そのことばの通り、湿り気がある灰のこと。
寒い季節に、炉中全体に撒かれた湿し灰が炭火の熱によって、
中心から徐々に乾いていく様子は何ともいえない美しさです。
茶室という小さなお部屋のなかではこのようなささやかな、
はっと息を飲む一瞬が溢れていて、
私はときめいてしまうのですが、
ご一緒する方とそんな時間を共有できるのもお茶の魅力のひとつです。

さて
7月29日は一日中、雲ひとつない快晴。
湿し灰づくりにはもってこいの日でした。
バケツに入れた灰に水を流し入れ、
ぐるぐるとかき混ぜて、
上澄みの灰汁をとりのぞくという作業を繰り返し、
次に、日の当たるところに水を含んだ灰を広げ、
乾燥していくにしたがい、灰を手で揉んで細かくしてゆきます。

そこに熱くて濃い番茶を何度もかけて
灰に色付けをしていきます。
灰が乾いてきたところにジョウロで番茶をまくので、
再度びちゃびちゃの状態からやり直し、ということを繰り返します。
さいごの番茶の後は太陽の恵みをいちばん感じるときです。

広げた灰の乾きは早く、すぐに表面が白くなってゆきます。
乾くスピードと競争するかのように、
こちらも負けじと灰を細かくしてゆき、
ほんの少し湿り気があるところでストップ、
できあがりです。
様々な方法があると思いますが
おおまかにはこのような流れなのだと思います。
省略しようと思えばできるこの作業、
この度は省略せずにやってみることにしました。
はじめの工程の部分、
お天気具合や灰の量によりますが、晴天でいわゆる少量であれば、
灰汁取りから半乾きまでにかかる時間は2時間位かなと思います。
今までは、灰汁取りを省略していたからだと思うのですが
満足できる湿し灰にならず、
少し居心地の悪い炉の時期を過ごしていました。
というのは
炭手前で灰匙で湿し灰をすくって撒く、という場面で
さらりと灰匙から灰がすべり落ちるのがよい湿し灰で、
見どころのひとつなのですが、
うまくいかないと
・・・
微妙な雰囲気になってしまいます。
湿し灰を使うのは11月になってからですが
私なりに手を抜かず、晴天に恵まれた今回は
以前より満足できる湿し灰になっていてほしいです。
真夏に行う厳しい作業ではあるけれども、
十分に暑さ対策をしつつ、よい湿し灰をつくっていきたいです。




コメント