関守石の意志
- saitearoom
- 2023年5月17日
- 読了時間: 2分
少し前になりますが大型連休はアメリカに行っていました。
この3年間、あまり遠出をせず過ごしたからか、生まれて初めて飛行機に乗ったような、そんなわくわくした気持ちでの渡航になりました。
訪問した場所の中でも特に素晴らしかったのはニューヨークのメトロポリタン美術館です。
この中のたったひとつでも来日したら大ニュースになるだろう、というような作品がところ狭しと展示されています。
贅沢なことにフェルメールやレンブラント、セザンヌやゴッホなど超のつく名作を堪能しました。
館内でエジプトの建造物が建ち並ぶエリアに入ろうとしたときのこと。
なにせ広い迷路のような美術館です。
こちらの経路を辿っても、あちらの経路を辿っても、どうしてもそのエリアに入れません。
困って係の人に聞くと、今週だけ閉まっている、とのことでした。
メット・ガラで使ったお部屋だったから入られないんだ・・・その日はちょうどイベントの翌日だったので、ようやく行き止まりの理由が分かりました。
それにしても分かりやすくお知らせいただけないものかしら、などとも感じましたが、そこはアメリカ、分からないことは、ことばにして問う国なのでした。

さて日本の茶道。
初めてのお家の訪問のときでも、誰にも聞かなくても、しかるべきお部屋に到着できる便利なサインがあります。
引き戸の隙間が少し開いていたら、どうぞお入りくださいの意、また関守石が置いてあれば、これより先はご遠慮くださいの意、などなど。
もちろんことばにして聞いたらよいですし、むしろ当然聞くべきです。
しかしメッセージをことば以外のものでも伝え、受け手はそれを感じとろうとするのが和の心なのでしょう。
不意に蹴とばしてしまいそうな小さな石ですが、関所の番人とは立派な名前です。
石、多けれど関守石になれる石はほんの僅か。
任命され、縄を巻かれた石は強い意志をもち、これより先に行ってはならぬのだ、とどっしりと居座ってくれています。




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